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求道者

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1人用(不問1) / 841字 / 畳みかけたい食レポ

本文

ああ、鍋が食べたい。チゲ鍋がいい。

大きな昆布を一枚鍋に敷いて、水からじんわりとダシを取っていくんだ。
煮干を2,3匹入れるのが我が家流。頭もハラワタも取らず2つに割って鍋に放り込む。
ほのかな魚介の風味が具材の味を引き出してくれる。
苦味? 生臭み? チゲ鍋の濃厚なうまみの前ではそんなもの無力だよ。

具材は、そうだな、まずキムチ、木綿豆腐、豚バラと肩ロース。
ふっくらと煮えたタラも捨てがたいが、それは冬の楽しみに取っておこう。
それからネギ、しいたけ、えのき、しめじ。……悪いか、好物なんだ。
大根。大ぶりに切ったものはとてもジューシーだ。
もやし。単純にうまい。
それと、ああそうだ、葛きりも入れよう。あのもちっとした食感は素晴らしい。

具材を切り終えた頃にはダシも取れていることだろう。
醤油と酒、コクを出すため練りゴマを加える。
甘さと辛さを出すためコチュジャンを入れてもいい。
ここまでやればあとの仕事は全てキムチが受け持ってくれる。
たっぷりと具材を鍋に詰め込み蓋を閉めてひと煮立ち。
グツグツと煮えてきたら胡麻油をさっと回し入れて完成だ。

蓋を開けた瞬間のゴマとキムチの匂いがたまらない。白い湯気に気分が高揚する。

さあ、今俺は煮えたぎる赤いスープの中に箸を突っ込み、無心で食べる、食べる。
辛い。甘い。酸っぱい。旨い。暑い。窓を開けろ。ビールを持って来い。シャツを脱げ。
汗など気にするな。食え。飲め。笑え。それ、飯も炊いてあるぞ。
まだだ。具材を追加しろ。腹が裂けるまで食べつくせ。食べつくせ。
食ったか?まだだ。これより雑炊を始める。余った飯は全て放り込め。炊飯器ごと放り込め。
卵を割れ。溶け。注げ。混ぜろ。遅い! 何ちんたらやってるんだ。蓋を閉めろ。火を消せ。
貪れ。腹が破れるまで貪り食え。むしろ飲み込むんだ。喉で味わえ。胃で味わえ。
鍋の底が見えてきたか? 米の一粒も残さず食べきったか?

よろしい。10分休憩。その後冷たいシャワーで汗を流すといい。それが至福というものだ。

……ああ、チゲ鍋が食いたい。

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