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ガレキの瞳

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4人用(男性3;不問1) / 1173字 / 4人でひとつの情景描写を試みる台本

登場人物

A:男性。主に主人公の行動描写を担当。
B:男性。主に主人公の心理描写を担当。
C:風景描写を担当。
D:男性。主人公以外の登場人物描写を担当。

本文

A01「ここはどこだろう」

B01「僕は道に迷った」

A02「見たことのない住宅街だ」

B02「どこにでもある風景だ」

A03「たった1本通りを間違えただけなのに」

B03「近道できると思ったのに」

A04「すぐに引き返せばよかった」

B04「だけど冒険したくもあった」

A05「誰かに道を尋ねなきゃ」

B05「嫌だ。怖い。緊張で体が震える」

A06「けれど誰も通りかからない」

B06「胸の内ではほっとしていた」

C01「はらはらと雪が降ってきた」

A07「歩いても歩いても1人」

B07「街の静寂を僕の足音が切り裂いてゆく」

C02「白で覆い隠される世界」

A08「雪で視界が狭くなっていく」

B08「生まれて初めて雪を美しいと思った」

C03「彼の頭の上にも降り積もる雪」

A09「やがて雪の向こう側からコートを着た男が歩いてきた」

B09「傘を差していたので顔はよく見えなかった」

C04「家から出てきたばかりなのか、男の傘には雪が積もっていなかった」

A10「すみません、ちょっと道をお尋ねしたいのですが」

B10「精一杯の勇気を持って話しかけた」

C05「男は一瞬彼に目を向けただけで、立ち止まらずに行ってしまった」

D01「知らない子どもが俺をにらんでいた」

A11「僕は男を追いかけようと思った」

B11「しかしやめた。きっと、それは恥だと思った」

C06「男の姿は雪の中へ消えていった」

D02「にらまれたように見えたが気のせいだったのだろう。俺はイヤホンから聞こえてくる今週の新曲に耳を傾けた」

A12「僕はまた歩きだした」

B12「なんて無機質な街なんだろう。家も人もまるで機械のようだ」

C07「灰色の空はその色をいっそう深め、街には街灯が瞬いた」

A13「冷たい風が鼻をかすめ、僕は1つくしゃみをした」

B13「冷たさを感じるだけ、雪のほうがこの無機質な街よりもずっとましに思えた」

C08「辺りの家々の窓に明かりが灯りはじめた。カーテンの奥で黒い影が不気味に蠢いていた」

D03「窓の外を覗くと、もうすっかり暗くなっていた。宵闇の中を子どもが1人歩いていた」

A14「どれだけ歩いても、もう誰かと会うことはなかった」

B14「どれだけ歩いても、この街には人間がいないようだった」

C09「おもちゃのような町並みはどこまでも続いていた」

D04「俺はため息を1つつくと、カーテンを閉め明かりを点けた。そうしてまた、パソコンのモニタに向かった。椅子がぎしりと軋んだ」

A15「僕は歩く」

B15「1人ぼっちで」

A16「僕は歩く」

B16「きっとどこかへ」

A17「僕は歩く」

B17「僕は歩かなきゃいけない」

A18「僕は……!」

B18「息が苦しくなって、僕は空を仰いだ」

A19「雲の塊のような吐息を吐き出した」

B19「大粒の雪が目尻(まなじり)に落ちて溶けた」

C10「輝く白い雪が、音もなく、この街に降り注いだ」

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