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僕らの街に七色の虹が降り注ぐ

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4人用(男性2;女性1;不問1) / 3110字 / ウンコが空から降ってくる平和なお話

↓この台本はリメイク作です↓

登場人物

A:タカシ
B:後にタカシの妹になる人物
C:タカシのお母さん
D:公安警察か何か

本文

A01「虹が降っていた――。昼まで寝て過ごすつもりだった土曜日の朝、カーテンごしに差しこむ朝の日差しがイヤに色鮮やかで、無性に気になって、厚ぼったいまぶたをこすりながら窓を開けるとそこには――」

B01「ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ!」

A02「七色に輝く光の粒が、空から街中に降り注いでいた。そしてそこらじゅうに降り積もり、街中が虹色に染まっていた。この世のものとは思えない美しい光景だった」

B02「ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ! ウンコ!」

A03「よく見ると・・・、光の粒はひとつひとつがこぶし大ほどの大きさをしていて、なんというか、円すい型というか、あれだ。とぐろを巻いているように見えた。まるでソフトクリームのような――」

B03「いい加減現実を受け入れるでウンコ」

A04「しかたない、認めよう。さっきからウンコウンコ言ってるってことは、あれはやっぱりウンコなのだろう。空からウンコ。あたり一面ウンコ。七色のウンコ。ボイスドラマだからニオってこないことだけが幸いだ」

B04「ちなみにウンコは柔らかいから人の頭にぶつかっても安全だウンコ」

A05「そうなのか。最悪だな。・・・ところで誰だお前」

B05「ウンコの名前はウンコだウンコ!」

A06「ウンコが喋った!? っていうかどこから入ってきた!?」

B06「お前さっき自分で窓開けたでウンコ」

A07「クソが! 1分前の俺のバカ!」

C01「ちょっとタカシ! 朝から何騒いでんの!」

A08「か、母ちゃん! ウンコが! 空からウンコが!」

C02「あらやだ。あんた何窓開けてんのよ。ウンコが家のなかに入ってきちゃうじゃない。閉めなさい、もう。そういえばあんた今日は出かける用事とかないでしょうね? 服に付いたウンコを洗うの、お母さんなのよ。どうしても出かけたいっていうなら、ちゃんと傘とハイヒールを忘れないでよ。いい?」

A09「ウンコにハイヒール! いや、あんだけ足の踏み場もなく積もっていたらハイヒール意味ねえよ!」

B07「ウンコ的には竹馬がオススメだウンコ!」

A10「竹馬やりながら傘差せと!?」

C03「あら? あらあらあら? ちょっとタカシ。その子・・・」

A11「ああ! ごめん、母ちゃん! うっかり家の中に入れてしまってたの忘れてた! 今すぐ片付けるから、えっと、あの鉄でできた長いハサミみたいなヤツない?」

C04「その子、もしかしてタカシのコレ?」

A12「んなわけあるか!」

B08「ママさん。ウンコにだって選ぶ権利はあるでウンコ」

C05「うふふ。やだ、冗談よ。賢そうな子ね。どこから来たの?」

A13「外から! 空の上から! ウンコなのに!! なんで!?」

C06「喋るウンコなんて珍しいわぁ。どう? うちの子にならない?」

B09「お兄ちゃん。ウンコ、お兄ちゃんの妹になってもいいでウンコ?」

A14「イヤだよ!」

D01「――警察だ! 全員床にうつ伏せになって両手を頭の上に上げろ!」

A15「警察!? なんで!?」

D02「早くしろ!」

C07「ちょっとお巡りさん。ウチには金目のものなんてひとつも――」

D03「いいから早くしろ! 撃つぞ!」

B10「はい。はーい。質問です! ウンコには両手が無いんだけどどうしたらいいでウンコ?」

D04「うん? お前は・・・見るからに丸腰だからそのままでヨシ!」

A16「・・・それで、警察の人がウチに何の用なんです?」

D05「ウム。実は、この家にウンコが侵入したとの通報があったのだ」

C08「あらやだ、お巡りさんったら。今日はウンコの日よ? 朝からずっとウンコが降ってるのよ? うっかり窓を開けちゃったらウンコのひとつやふたつ入ってきちゃうわよ」

D06「黙れ! ウンコが空から降ってくるとか、そんなバカな話があるか!」

A17「警察の人・・・。わかる」

B11「でもこの人、肩とか頭の上とか靴の裏とか、ウンコだらけでウンコ」

C09「あとで掃除するのお母さんなのよねえ」

D07「それで、どこだ?」

A18「は?」

D08「ウンコはどこにいると聞いている! 隠し立てするようなら容赦はせぬぞ!」

B12「ウンコ?(※ 疑問を投げかけるような鳴き声)」

D09「・・・お前か!? 全然気づかなかった!」

A19「何なんだ、この人」

D10「ちなみに誰のウンコなんだ?」

B13「さあ・・・?」

D11「まあいい。詳しい話は署で聞かせてもらおうか。来い!」

C10「ちょ、待ちなさいよ!」

D12「・・・何だ。よもやお前らもウンコの仲間なのか!? 全員まとめてトイレに流してやろうか!」

C11「仲間じゃないわ! 家族よ!」

A20「母ちゃん、やめて」

C12「そもそもその子が何をしたっていうの? ただウンコってだけじゃない。あなた、公務員のくせに人種差別をするの?」

D13「いや・・・。ウンコは人間じゃないと思う」

C13「それくらい何よ! 人間かそうじゃないかってそんなに大事? ・・・そうね。あなた、昨日の夜は何を食べた?」

D14「ム・・・。オムライスだが」

C14「ニワトリの卵がどうやって出てくるか知ってる? それからお米やトマト、ニワトリのエサ。どうやって育てているか知っているの? ――ウンコよ! 植物はみんなウンコで育ってる! だからニワトリが元気に卵を産んでくれるのだってウンコのおかげ! みんなみんな、ウンコのおかげでおいしいごはんを食べているの! そして私たちもウンコを出すんだわ。食べた分はちゃんと地球に還すの、ウンコとして。そのウンコが、またいつか、卵やお米になるんだわ。食物連鎖はウンコ連鎖よ。私たちはウンコで育った食材を炊いて、焼いて、刻んで、茹でて、お醤油かけておいしく食べているのよ」

A21「母ちゃん・・・。突然何言いだすの」

C15「わからない? タカシ。私たち人間はね、みんなウンコでできているの。みんなウンコに生かされているのよ。だからウンコは友達。仲間。――家族。お母さんはね、家族を守るものなのよ」

D15「・・・一理ある」

A22「無いよ」

B14「♪ぼくらはみんな 生きている 生きているから 歌うんだ ぼくらはみんな 生きている 生きているから かなしいんだ」

C16「♪手のひらを太陽に すかしてみれば まっかに流れる ぼくの血潮」

D16「♪ミミズだって オケラだって アメンボだって みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ ――か」

A23「・・・なあ。ウンコ」

B15「どうしたでウンコ? お兄ちゃん」

A24「今の歌の並びに、ウンコ、いないよな」

C17「タカシ! あんた誰の味方なの!」

A25「俺の味方なんてどこにもいねえよ! この警察の人も結局変だし!」

B16「お兄ちゃん。ウンコ、いいかげんお腹すいたでウンコ」

C18「あらやだ、朝ご飯まだだったのね。こっちいらっしゃい。昨日の余りものしかないけど・・・。カレーよ」

B17「お兄ちゃん。ウンコ、足がないから自分で歩けないでウンコ」

D17「だったら私が運んであげよう。なあに、私たちは友達。仲間。家族なんだ。気にすることはない」

C19「あらあら。お巡りさんもせっかくだからご飯食べていかれます?」

D18「いえ。ありがたいお話ですが、今の世のなか、公僕が勤務時間中にものを受け取るのは色々問題になりますので」

B18「お巡りさん、マジメだウンコ!」

A26「・・・無視するなあ!!」

A27「こうして、ウンコが身近にいる日常は、なし崩し的に、有無をいわさず、よくわからない運命か何かの強制力によって、当たり前のものとなっていくのでした」

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