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2人用(男性1;女性1) / 1414字 / シンプルな告白モノ

登場人物

A:男性。3年生。須藤トシキ。優等生の仮面の裏にはヘタレの本性が。
B:女性。1年生。葛西あやめ。テンパり一途。こんないい子は2次元でしか見たことがない。

本文

A01「や。葛西さん、だよね? どうしたの? こんなところに呼び出して」

B01「は、はい! 1年B組の葛西あやめと言います。こんな見ず知らずの私なんかの手紙を読んでいただいて、こんなところにまでご足労いただいて、その、ええと、本日はお日柄もよかったり、これからひと雨降りそうだったり……」

A02「落ち着いて。そうだ、自己紹介がまだだったね。3年D組の須藤トシキです。合唱部の部長をやってます。よろしく」

B02「は、はい! 私、1年B組の葛西あやめです。陸上部です。中距離走が得意です。その、きれいな声ですね!」

A03「ありがとう。うれしいよ。ところで葛西さん、今日はどういった用件なのかな。何か相談事とか?」

B03「あ、はい、すみません。その、お忙しいですよね……? ごめんなさい」

A04「大丈夫、大丈夫だから。ちょっと落ち着いて話してみてよ。ね」

B04「はい。……あの、私、ずっと先輩の歌を聞いてました。グラウンドから。その、先輩の歌声は綺麗で、透き通ってて、よく通るんです。私、毎日音楽室から聞こえてくる歌を聴きながら走ってて、それが結構楽しみで、気が付いたら先輩のファンになっていました! 最近は休み時間のたびに先輩のこと、見に行ったりなんかして……。だから、私、先輩のことが……! その、いつも先輩のことばかり考えてて、先輩のことが頭から離れないで、先輩のことしか考えられなくて、私、私、先輩のことが大好きです! ずっとずっと好きでした! つき合ってください、お願いします!!」

A05「あ、ああ、うん……」

B05「いいんですか!? ありがとうございます」

A06「ちょっと待って! ……いいの? 僕、3年だよ? 気持ちは嬉しいけど、あと半年もすれば卒業しちゃうし、それに、受験でなかなか時間も取れないと思うけど」

B06「はい。私もたくさん悩みました。だけど、どうしても先輩のこと、あきらめられなくて。だから、信じることにしたんです。想いは、心は、時間や距離なんかに負けない。たとえどんなに離れていても、大切な想いはずっとつながってるって。信じることにしたんです。だから、先輩がご迷惑でなければ」

A07「あ、うん、そっか。それなら……いいよ」

B07「は、はい! ありがとうございます! よろしくお願いします!」

A08「……待って!」

B08「……?」

A09「ずっと、気になる子がいたんだ。放課後の音楽室の窓の外、周りの皆よりひとまわり小さなその子は、皆より少しだけ長く走ってて、皆より少しだけ速かった。毎日、毎日。その子は他の誰よりもずっと頑張ってた。僕はその子を尊敬していた。ある日、その子がよく僕の教室の前まで来ていることに気がついた。ひょっとしてその子も僕のことが好きなんじゃ、とひとり妄想してはドキドキしてた。それと同時に、その子はすでに僕のクラスの誰かと付き合ってるんじゃないかと想像して、泣きたくなった。受験も近いのに下級生の女の子と遊んでるなんて、と理不尽な苛立ちも感じていた。……ずっと、その子のことばかり考えていた。だけどあれこれと自分で自分に言い訳をしては、そのことから逃げていた。だけど、忘れられなかった。葛西さん、僕も君のことがずっと好きでした。なかなか会えないかもしれないけど、それでもできるだけ努力するから、君のことを大切にするから、だから、こちらからもよろしくお願いします」

B09「……はい!!」

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