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ただしイケメンに限る

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3人用(男性1;女性2) / 1625字 / キューピッドするやつ

登場人物

A:男性。加藤君。文武両道、成績優秀、おまけにイケメン。
B:女性。新田智早。成績は真ん中くらい。Aに片思い中。貧乳。
C:女性。美恵子。色恋沙汰が大好きなおせっかい女。

本文

A01「あの、新田さん。二次試験の過去問持ってるよね?」

B01「え? ああ、うん。持ってるけど、これ北大(きただい)のだよ?」

A02「ちょっと貸してくれないかな?実は僕も受けることにしたんだ、北大」

B02「え……?」

A03「それじゃ、ちょっとコピーしてくるから」

(※A、教室を出て行く)

C01「ちょっとちょっと、どういうこと!?」

B03「さあ」

C02「何で今になって進路変えるわけ?」

B04「なんか事情があるんだよ、きっと」

C03「事情って何さ? だってあの人一大(いちだい)狙ってたじゃん。普通にA判定とってたし。それを北大って、どんだけレベル下げるのよ」

B05「色々あるんだよ」

C04「ねーよ!」

B06「知らないよ!」

C05「何したの?」

B07「は?」

C06「ごまかすな。さては冬休みに何かあったんでしょ!?」

B08「ば、馬っ鹿じゃないの!?」

C07「ははぁん、その反応は……」

B09「無いから!!」

C08「うわぁーん、こんなミニマムサイズに先越されるなんてー!!」

B10「張っ倒すぞ、この野郎!!」

C09「はっ!? こうしては居られない!真相を確かめに行かなきゃ!!」

B11「だから何にもあるはずないじゃん! って、足はや! もう居ないし! ……もう、本当に何にもないのに。だいたい、まともに話したこと自体、あの時……」

(※ここから回想。1年前の2学期、中間テスト後)

B12「あの、加藤君」

A04「あれ、新田さん、めずらしい、何?」

B13「いや、えっと、ここね、ここの所、ちょっとわからなくて、ごめん、本当は美恵子に聞いたんだけどね、あの馬鹿、加藤君に聞けばいいじゃんとか、ほら、加藤君学年1位だしさ、で、あ、別に加藤君が嫌ってわけじゃなくて、むしろ私もそっちのほうがいいな、とか、加藤君教えるのうまいって評判いいし、……ね?それで、ああ、やっぱいいや、自分で」

A05「あ、ここの計さ」

B14「はい! ……え?」

A06「落ち着こうよ。……んとさ、解き方は間違ってないんだよ。ここ、計算ミスしてるだけ」

B15「え?」

A07「なんだ、こっちのもケアレスミスじゃん。新田さん、計算式はきれいなのに。解き方が頭に入ってるなら次は大丈夫だよ。次はもう少し落ち着いて、ね」

B16「あ、ありがとう……。そ、それじゃ!」

A08「あ……」

(※ここまで回想)

B17「訂正。まともに話したことなんてなかった。あるはずがなかった。希望的観測でした。あーあ、ついに3年間ろくに話さないで終わっちゃった。……大学行ったらもっと仲良くできるかな?いやいや、3年間ろくに話してないのに急に仲良くなれるわけないじゃんか」

C10「どったの?」

B18「……別に。つーか結局何しゃべってきたのさ」

C11「ああ、うん。とりあえず何もなかったことはわかった」

B19「でしょ」

C12「ねえ、チハ、あんたやる気あんの?」

B20「何よ」

C13「加藤君のこと。まさか3年間まったくひとつもアクション起こさないとか」

B21「放っといてよ」

C14「少しは押し倒したいとか思わないの?」

B22「馬鹿じゃないの?」

C15「もしかして、飽きちゃったとか」

B23「うっさいな」

C16「嘘、マジで?」

B24「違うわ。うー、違うんだけどさー」

C17「ん、そっか。よかったよかった」

B25「はあ?」

(※A、教室に戻ってくる)

A09「あの、新田さん、これ、ありがとう。助かったよ」

B26「ん。どうも。そういえば結局加藤君はどうして北大受けることにしたの」

A10「そのこと、なんだけど、えっと……」

B27「へ?」

C18「頑張れー」

A11「ごめん、新田さん、ちょっと来てくれないかな!?」

B28「はい?」

C19「二人とも頑張れー」

B29「ちょ、美恵子!? まさかお前か!」

C20「いやー、青春って見てて面白いよねー。そいじゃ」

B30「お、お前泣かす! 後で絶対泣かすから!! ……行こ、加藤君。えっと、どこ行けばいい?」

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