3人用(男性3) / 1819字 / 世界観がよくわからないノリ専門なお話
登場人物
A:男性。ナレーション兼ょぅι゛ょ。流れるようなハイテンションで。
B:男性。目元にトーン貼られてもめげずに猛る厨二魂。
C:男性。快活な外面にひた隠す昏く燃え上がる熱情。
本文
A01「むかしむかし、えー、そりゃあもうずっと昔、我々があずかり知らぬような遥か彼方のそのまた向こうの古きセピア色した時間軸、もうね、地球とかそんな物質概念的なモンが存在しえなかったような大昔よ。そのくらい昔となると我々世界のファンタジィ的には超々古代文明的な何かがきんきらきんにさりげなく、何となく宙に浮いてみたり苔むしてみたりする謎の日干しレンガ風の不思議素材で空中庭園をナントカって……え、何? 話が進んでないって? テメーの口上なんざどうでもいいって? アイタ、おっしゃるとおり! 失礼しやしたー。んじゃま、登場人物のご紹介と行きましょうか。可能な限り巻いて巻いてェ! ……むかしむかし! あるところに! お兄さんと! お兄さんが! 住んでいましたァ!!」
B01「あのォ、そこ行く、アナタ?ちょいとお聞きしたいことがありますのですが」
C01「え、何? 聞こえない。むしろ今ひょっとして口開いてた? 悪い、全然気づかなかったわ。あっはっは」
B02「うう……」
A02「頑張れ! お兄ちゃん負けるな、頑張れ!」
B03「う、うん……!」
C02「誰だ今の幼女」
B04「あ、あの……」
C03「え、何? あ、もしかして俺になんか用なの、お兄さん」
B05「は、はい。あ、あ、あ、あの、ひとつ道を、お聞きしたいのですが……!!」
C04「おぉ、おぉ、はい」
B06「地獄の大魔王就職試験の試験会場は、こ、こちらでよろしかったでしょうか!」
C05「おお、はい、合ってます。ここがその地獄の大魔王就職試験会場の、地獄の大魔王城です。……って、え、なに、お兄さん地獄の大魔王志望の人?」
B07「は、はい。男なら夢はでっかく、大魔王! あのテレビコマーシャルに痺れました」
A03『男ならッ! 夢はでっかく! 大魔王!! 君も糞ダークかっこよく、光の勇者様にぶっ殺されようぜ!!』
C06「ああ、あのCM超アリっすよね! かくいう俺も地獄の大魔王になろうかなーなんつってさー」
B08「……マ、マジ?」
C07「マジマジ。え、何、それじゃ決め台詞なんかも練習して来ちゃったりなんかして!?」
B09「う、うん。……あ、はい。一応」
C08「んだよ、もったいつけんなよー。ここはひとつ、俺だけのために、いっちょ聞かせてくれよ。な、魔王様」
B10「で、でも」
C09「大丈夫、俺たち同じ大魔王を目指す友達だろー? 心の友と書いて、ライバル! くぁー、かっけー!!」
B11「で、でも」
C10「おおっと、そっかー。お前だけに言わすのもアレだ、不公平だよな。んじゃ俺のも聞かせてやるからさ。いくぜ? 『現れたな勇者よ。我こそは王の中の王、地獄の大魔王パフアヌイアピタアイテライとは我のことよ。小癪な天上の神を喰らい、我は天にも地にも比類なき力を得た。さあ、勇者よ、闇のなかで溺れるが良い!!!!!』 ……どうよ?」
B12「う、うん。いいと思う。パフアヌイアピタアイテライ、『天空を開く偉大なる主』が魔王をやってるなんてギャップがあってすごくカッコイイと思う。なんか色々想像しちゃうよね」
C11「くぅー、そこに気がつくなんてさすがだぜ、友よ!」
B13「じ、じゃあ、俺の番だね、いくよ…… 『闇とは何か? 光とは何か? 力ある者と、それに群がるムシケラどもとの違いは? ……クハハハハ。よくぞ参った、光の勇者よ。ムシケラどもとの戯れはそんなにも良きものだったか。力あるものの責務も忘れ、凡夫の耽溺に飼い慣らされた哀れな道化よ、余が貴様の血肉、爪先ほどのチカラとともにすすり尽くしてくれるわ!!!!!』 ……一応、こんな感じで」
C12「おお。……おおー! やるじゃん。やべー、こえー。何つーの? 底冷えのする絶望感? 圧倒的な覇気? そうだよな、大魔王ってのは何より威厳がないとダメだよな」
B14「そ、そんな、俺なんかより君の方が」
C13「いいや、わからねーよ? 俺だって魔王の試験を受けるからには自信あるつもりだけど、もしかしたらお前と大魔王の座を争うことになるかもしれん。そのときは頼むぜ。お互い本気でやろう。な?」
B15「う、うん。ありがとう。頑張って!」
A04「……というわけで、むかしむかしあるところに、それはそれは美しい友情がありましたとさ。おしまいっ。……え? だからいつの時代の話だって?だから昔だよ昔。むかしむかし我々があずかり知らぬような遥か彼方のそのまた向こうの……」
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