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おいしい焼きリンゴ炒めの作り方

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2人用(男性1;女性1) / 2222字 / 料理モノなのにレシピが雑なシリーズ

登場人物

A:男性。兄。テキトーさと自業自得な言動に磨きがかかってきた。
B:女性。妹。理不尽な暴力と男っぽさに磨きがかかってきた。

↓この台本には前編があります↓

本文

A01「妹よ! 妹はいるか!? 我が妹よ! お昼時の吉野家に一人で入っても平気な我がグハッ」

(※SE:AがBに殴られて床に転がる音)

B01「うっさいウザイウザイウザイバカ兄貴!」

A02「正直……どうかと思う」

(※SE:AがBに踏まれる音)

B02「で、何だよ」

A03「おお! 妹よ喜べ、青森のばあちゃんからセンナリが届いたぞ」

B03「セン……?」

A04「センナリだ。せなれぃ(※津軽弁風に“な”にアクセント)。せなれぃ。せなれぃ。せなれぃ! せなれぃ!」

B04「やかましい!」

(※SE:AがBに拳を入れられる音)

A05「グフゥッ」

B05「……で?」

A06「こ、これだ……。我が妹様」

B06「リンゴ? やった。今年も送ってくれたんだ」

A07「ふっふっふ。ただのリンゴではないぞ。センナリだ。せなれぃ」

B07「それはもういい。で、せな……り? それって普通のリンゴじゃないの?」

A08「普通のリンゴかと聞かれると……普通のリンゴだ!」

(※SE:AがBに軽くはたかれる音)

A09「だがスーパーでよく見かけるフジという品種に比べて少し小ぶりで、色が濃く、酸っぱいのが特徴だ。ちなみに一般には紅玉という名前で知られている」

B08「ああ、そっちの名前ならケーキ屋さんで見たことある」

A10「うむ。お菓子作りに向く品種だとよく言われるな。そんなわけで! 焼きリンゴを作ろう! 妹よ、焼きリンゴを作ろうではないか!」

B09「ええー、私さっき牛丼食べてきたばかりなのに。それに焼きリンゴって作るの面倒くさそう」

A11「案ずるな、我が妹よ。確かに焼きリンゴはオーブンで40分も焼いたり何かと面倒くさい。だから今回はフライパンひとつで簡単に作れる焼きリンゴ炒めを作ろうと思う」

B10「焼くんだか炒めるんだかどっちだよ」

A12「時間も10分ほどで作れてお手軽だ」

B11「だから私お腹いっぱいだってば」

A13「バカモノ! せなれぃはボケるのが早いんだ。美味しいものは美味しいウチに食べないと、青森のおばあちゃんに失礼だろうが」

B12「はーい。わかりました」

A14「うむ。あいかわらずこういうときだけは聞き分けがいいな」

B13「そろそろ話進めないとリスナーの皆様が飽きちゃいそうだからね」

A15「まずは材料だ。リンゴ。バター。砂糖。レーズン。シナモンシュガー」

B14「一応聞くけど、分量は?」

A16「すべてお好みで!」

B15「テキトーだなあ」

A17「料理なんてそういうものだ」

B16「これ一応お菓子作りだよね?」

A18「お菓子だってスポンジを膨らますのでもなきゃ案外テキトーに作れるものだ」

B17「一部の奥様に喧嘩を売る発言が飛び出したことを心よりお詫びいたします」

A19「おそらくそっちの方がよほど失礼だと思うぞ。さて、とりあえずリンゴの皮を剥こうか」

B18「はーい」

A20「ここで取り出したるは秘密兵器アップルピーラー! リンゴをピンに固定して、あとはハンドルを回すだけ! お手軽! 簡単! そして楽しい! さあ妹よ、さっそくこいつを使って」

B19「剥き終わったよ」

A21「早いよ! こいつ2500円もしたんだぞ、少しくらい見せ場をつくってやるべきだろう」

B20「男の人ってそういう微妙な機械が好きだよねー」

(※SE:グサリ、とAの心に言葉が突き刺さる音)

A22「……はい、では、次。リンゴを縦に割って芯を取り、5ミリ幅くらいにスライスします」

B21「できたよ」

A23「早いな!」

B22「無駄な間はなるべく巻きで」

A24「料理番組のお約束ってやつか」

B23「ご都合主義です」

A25「……いい言葉だ、我が妹よ」

B24「ところでうっかり突っ込み逃しちゃったけど……焼きリンゴって包丁使う料理じゃないよね。何この切れっ端」

A26「まあ見ているがいい、我が妹よ。ここに取り出したるはフライパン! フライパンを火にかけ、バターを全体に馴染ませて、ここでリンゴを投入。どうだ、我が妹よ」

B25「何だこれ」

A27「ここにレーズンと砂糖も加えて軽く炒めます。砂糖が全体に馴染んだら、あとは軽く焦げ目がつくまで、そのまま火にかけるだけ。どうだ、我が妹よ」

B26「何だこれ」

A28「焼き上がったらこいつを皿に盛りつけ、シナモンシュガーをたっぷり振りかける。普通の焼きリンゴのように、バニラアイスを添えても美味しいかもしれんな。これで出来上がりだ。どうだ、我が妹よ」

B27「何だこれ」

A29「まあまあ。騙されたと思って食べてみるがいい」

B28「……ふむ。確かに焼きリンゴの味がする」

A30「だろう」

B29「焼きリンゴのホクホク感はないけど、かわりに香ばしいカラメルの風味があって、これはこれで美味しいかも」

A31「そうだろう」

B30「でも、何だろうね、この何ともいえない微妙な感じ」

A32「いわばアップルパイの中身だけ食べているようなものだからな」

B31「あー」

A33「だが、美味しいだろう」

B32「まあね。兄貴の料理にしては上出来。……でもさ、兄貴」

A34「何だ」

B33「今回もまたオチてないよね」

A35「困ったな、我が妹よ。……あ、それでは兄はそろそろ台所の後片付けをせねばならんので」

B34「兄貴。このリンゴ、何て名前だっけ?」

A36「せなれぃ!」

(※SE:BがAにクリティカルヒットを叩き込む音)

B35「それではリスナーの皆様、また来週!」

A37「オチてない……オチてないぞ妹よ……」

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