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嫌なら来るな!

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1人用(女性1) / 563字 / SF風味ツンデレ

本文

 ――有機生命体の存在を確認。
 その日、彼女の長い長い旅路はようやく終わりを迎えることとなった。

 元々少女は迷子であった。
 母親がピクニックに連れて来てくれた、色とりどりの花が咲き乱れる高原を夢中になって駆け回り、駆け回り、やがて気がついた時には大宇宙の彼方へたどり着いていた。
 後ろを振り返っても母親の姿はなく、お昼のタマゴサンドも、花の絨毯もそこにはなく、ただただ漆黒の闇だけがそこにあった。もはや走っても走っても元居た星へは決して帰れない。こうして少女の数百年に及ぶ長い旅が始まった。

 そうして今、少女の目の前に浮かぶのは青く美しい、水の惑星。宇宙のチリや石くれを集めて作った箱舟の中で、彼女はまだ見ぬ友人たちの姿に思いを馳せる。
 みんな仲良しにしてくれるかな? ……ううん、きっと仲良しになるんだ!
 彼女の思いに呼応するように、直径10kmの箱舟は勢いを増して第2宇宙速度で虚空を駆ける。すなわち、およそ時速4万km。目の前には少しづづ大きく広がっていく青い星、地球。旅の終わりはあと数分といったところか。期待と不安で胸がいっぱいの少女はひとり顔を赤らめ、照れ隠しに強がりを呟く。

 「べ、別にあなたに会いに来たわけじゃないんだから!」

 ――少女が。恐竜を絶滅させたものと同規模の隕石に乗った少女が、今、会いに行きます。

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